シーリング工事について

シーリング工事(ヘラ押え)

概要

シーリング工事はサッシ廻りや目地などををシーリング材で塞ぐ工事です。建物には幾つもの建材が用いられ、それら無数の部材が組み合わさって形を成します。最近よく見られるサイディング貼りの家は何枚ものサイディングボードが用いられます。それらボードの合わせ目はぴったりとくっつけるわけではなく、目地を作れる程度に離して下地に固定されます。その目地部分に充填されるのがシーリング材です。固いボード同士をくっつけると、寒暖の差による伸縮や建物の揺れを吸収できず相互に傷つけ合い破損してしまう事があります。そこで、目地を作り、伸縮性のあるシーリング材を充填する事で部材同士の動きを緩衝する役割を持たせます。シーリング材自体防水性に優れたものですから、工事の分類としては防水と並び称される事が多いのですが、サイディング貼りの家に目地を作る事そのものは防水を主眼としたものと言うよりも、ボードの伸縮などに追従し、挙動を吸収する事と言えるでしょう。

コーキングとシーリング

コーキングとシーリングは建築現場ではほぼ同義として用いられます。厳密には違うのですが、それを細かくここでご説明するほどの意味はないと思われます。かつてはコーコングと言う事が多く、今もそう表現している人がいる。そして、今現在一般的なのはシーリングという捉え方でいいのでしょう。

シーリングとシーリング

「シーリング」というワードで検索をすると照明器具用の接続部分がまっさきに出てくる事でしょう。建築物に関わる用語として紛らわしい同音語です。シーリングライトに関する「シーリング」と目地等を埋める「シーリング工事」として混同しないようにしましょう。

目地の種類

目地は建物の接続部分などに作られる他、コンクリートのような継ぎ目のない所にあえて作る事があります。役割によって呼び名が違います。

誘発目地

コンクリートは基本的にヒビ割れを起こしやすい特徴を持ちます。温度や湿気によって伸縮を繰り返す中であちこちにヒビ割れが生じるとうまくありません。そこで、断面の一部を欠損し敢えて弱い部分を作る事でそこにひび割れを集中させます。これが誘発目地です。目地部分から雨水が侵入するのを妨げる為「シーリング材゙」を充填します。

伸縮目地

コンクリートの熱膨張力を逃がす為に作られる目地です。一定区画ごとに設けられ変形を吸収します。目地部分にはシーリング材を充填し、雨水の浸入を防ぐとともに、コンクリートの伸縮に対応します。夏場気温が上がればコンクリートは膨張するため目地幅は縮まります。冬になり気温が下がれば逆に収縮します。シーリング材はゴムのように伸び縮みしながらコンクリートの動きに対応するわけです。

化粧目地

壁などの外観上の見栄えを良くするために継ぎ目を装飾的に処理したものである。 タイルやレンガ積みに多く採用されます。見た目のために作られるものですから、シーリング材は充填しません。

ワーキングジョイント

サイディングなどの外壁材は温度変化によって伸縮し、目地幅などが変化します。このようにムーブメントが働く目地のことをワーキングジョイントといいます。ムーブメントが生ずる原因としては温度・湿度の変化に伴う部材の変形や地震に伴う層間変位や風による部材のたわみ等が挙げられます。したがって、目地設計ではシーリング材の接着性、ムーブメント追従性、耐久性、施工性などを十分考慮して目地設計をし、目地幅、深さを決定しなければなりません。また、ワーキングジョイントの場合3面接着にすると、ムーブメントによりシーリング材に局部的な応力が生じ破断しやすいので3面接着の防止をする必要があります。

ノンワーキングジョイント

コンクリート打ち継ぎ目地や誘発目地、サッシ等の建具廻りの目地などムーブメントがほとんど働かない目地のことを言います。目地幅、深さは、シーリング材が確実に充填できる寸法であり、接着性・耐久性を確実に確保でき、硬化阻害を起こさない寸法を決定する必要があります。 また、ノンワーキングジョイントの場合は、目地底に水が浸水した場合に水みちとなる 2面接着よりも、シーリング材が目地底に接着して水みちを生じない3面接着の方が有効です。

二面接着

ALCボードやサイディングボードでは前述したように二面接着が基本となります。つまり、ボードとボードのみに接着し、深奥部の躯体には接着しないようにしなければなりません。ボンドブレーカーを目地底に貼り、シール材が付着しないようにします。

三面接着

外壁、目地底の三面に接着する。ボンドブレーカーを用いない限りは三面接着。

シーリング材について

一口にシーリング材と言っても材質・性能の異なる数種類の物があります。分類の仕方としては「定型と不定形」「成分」「硬化タイプ」「材質」によるものがあります。

定型と不定形

定型シーリング材

合成ゴム(シリコーンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴムなど)を押出成形などであらかじめ、ひも状などに成形して目地(部材のすき問)にはめ込むガスケットのことをいいます。

不定形シーリング材

ペースト状の材料で施工時に目地に充填後、硬化してゴム状になるものをいいます。建築現場で言うシーリング工事はこの不定形シーリング材を用いるものです。

成分による分類

1成分系

そのまま用いる事ができるタイプ。どのように硬化するかによってさらに分類されます。1成分系のシーリング材は次項の「効果によるタイプ分類」をご参照ください。

2成分系

主剤と硬化剤を混ぜるなどして反応硬化させるタイプ。あるいは反応硬化しないタイプもあります。

硬化タイプによる分類

湿気硬化型

空気中の水分と反応して硬化するタイプ。

乾燥硬化型

乾燥により硬化するタイプ

非硬化型

表面に酸化皮膜を形成するタイプ。内部は硬化しません。

材質による分類

アクリル系

硬化後、弾性体となり、湿った面にも使用可。ALCパネルの立て目地 新築時のALCパネル目地に使われていますが、耐久性があまりなく肉やせするため、改修時にはほとんど使われません。

ウレタン系

硬化後にゴム弾力性を持つ。コンクリート、スレートなどに対し汚染がない。耐久性は一番ありますが、そのままの状態ですと紫外線に弱く、また、ホコリを吸い付けてしまい汚れやすいため、塗膜で被せる場合に使用します。

ポリウレタン系

耐熱性、耐候性は劣るが、後塗膜や目地周辺の非汚染性(ノンブリード)に優れています。シリコーン系と逆の特性がある材料です。

シリコン系

シリコーン系とは耐熱性(-40度~150度まで)、耐候性に優れており、特にガラス類によく接着する特性があります。一方、目地周辺を汚染することがあるため、汚染防止処理が必要な材料です。

変成シリコン系

変成シリコーン系とは耐熱性(-30度~90度)、耐候性にはシリコーン系程ではないがよく、目地周辺の非汚染性にもポリウレタン系程ではないがよい特性があります。また、柔軟性がありムーブメントの大きい金属類への使用も可能な材料です。

ポリサルファイド系

皮膜を形成するが、内部は非硬化。

油性コーキング系

耐熱性(-20度~80度)、耐熱性には変成シリコーン系程ではないがよく、表面にゴミ、ほこりが付きにくい特性があります。一方柔軟性があまり無くムーブメントの大きい金属類への使用には適さない材料です。

施工について

シーリング工事はジョイント部分などを防水性のあるペースト状のシーリング材で埋めるものです。下地補修などにもシーリング材を用いるのですが、そこで採用される擦り込み工法やUカット工法による工程は狭義にはシーリング工事とは別物となります。それらは「下地調整」または単に「下地」と呼ばれます。詳細については「とっても大切な下地」をご参照ください。

シーリング工事の工法

打ち替え工法

既存部分を撤去し、新規にシーリング材を充填します。劣化した既存部分にカッターを入れ、ニッパー等で引っ張りだし、マスキング養生、清掃、プライマー塗布、シール材充填、ヘラ押えという工程を経ます。リフォームでは打ち替え工法がベターですが、既存部がさほど劣化しておらず、予算が限られた要る場合には下記増し打ち工法を採用する事もあります。ただし、劣化した既存部を残したままその上にシール材を足すやり方だと、充填するリール材の量も少なく、薄塗であるため耐久性は保証できません。また、干からびたゴムを想像するといいのですが、パサパサでひび割れた既存シール材は水を含んでいたり、隙間から入り込んだ水分を目地底に含んだまま蓋をするのですから、施工後それほど立たないうちに不具合が生じる可能性があります。

増し打ち工法

既存部分に打ち増す工法です。打ち替え工法のところで触れました通り、厚みが付かないため耐久性については難があります。既存部分を撤去する工程がなく、また用いるシーリング材も少量であるためコストを抑えられますが、状態によっては無意味に近い工事になる恐れがあるので、しっかり見極める必要があります。水は蒸発するとその体積が約1700倍にもなるとされます。少量残った水分でさえも、打ち増したシール材をパンクさせる能力を持つことを忘れてはいけません。

既存部分を撤去した際に目地に溜まっていた水が流れ出たり、噴き出してきたりするのを何度か見て参りました。そうした場合には大抵外見上からも何らかの兆候が表れているものですが、撤去して初めてわかるという事もあります。増し打ちのデメリットとしては目地内の環境を把握せずに施工するという事でしょう。

シーリング工事の種類

三角シール

サッシ廻りなど既存部の撤去が困難な個所で行われます。また、下記入隅シールも三角シールの一つです。三角形を描くようにシーリング材を仕上げます。例えばサイディングボードの目地だとボードとボードという向かい合う部材に接着しますが、三角シールの場合は隣接する二面に接着します。

入隅シール

屋上やベランダなどを防水する際に、特に漏水しやすい箇所を重点的に処理するために行われます。入隅とは平場と立上りの境い目の所です。

平場、天端、出隅、入隅説明画像

平場から垂直に立ち上った所を「立上り」、立上りの頂上を「天端」。出っ張った所を「出隅」、反対に凹んだところを「入隅」と呼びます。入隅シールは平場と立上りの二面に接着する三角シールです。

端末シール

シート等の端部に行うシーリングです。シートなどは専用のボンドで接着しますが、端部からめくれたり、水やほこりが入り込みます。そうした事を防ぐために行います。