バリアフリー住宅について

バリアフリーとは高齢者や障害者が社会生活を送る上で障壁となるようなものを取り除く事を言います。住宅では段差を取り除いたり、扉を引き戸にしたりして、身体機能の衰えた方でも暮らしやすいようにします。新築だとバリアフリー設計されたものが多くなりましたが、中古だとまだまだです。購入後リフォームするならばどこをどの程度すべきなのか、予算がどれくらいかかるのか見極めたいものです。

バリアフリーとユニバーサルデザイン

バリアフリーに似た言葉で「ユニバーサルデザイン」というものもがあります。結果として同じような造りになるため混同されがちですがそのそもの発想は違います。障壁を除去し身体機能が衰えたり、まだ未発達な人がより安全かつ暮らしやすいようにするのがバリアフリー、そもそもあらゆる人が使いやすいように設計するのがユニバーサルデザインです。ユニバーサルデザインを定義するなら「年齢、性別、人種といった差異を想定し、全ての人が使用できるよう予め設計する事」と言えるでしょう。

バリアフリー住宅

バリアフリーという発想は高齢化が進む日本社会で急速に広まっていきました。そうした中、介護や介助を必要とする人たちのために手すりを設置したり、段差を解消するなどして日常生活動作を向上させるような工夫が求められるようになりました。新規に造られる住宅では最初からこうした工夫が見られるようになったわけです。今は大丈夫でも数年後、数十年後には必要になるかもしれないし、それを見越した住環境づくりが意識されるようになりました。

手摺り

玄関の上り框やトイレ、浴室、階段などに手摺を取り付けます。手すりは付ける場所によって形状や設置方法が異なります。形状としてはI型、L字型、波型のものがあります。I型だと床に対して垂直もしくは平行に取付けます。どのような動作を補助するのかによって縦にするのか横にするのかを決めるわけです。例えば玄関を上がる時には手で引っ張る力が必要です。そうなると水平に付けるよりは垂直に付けた方がいいわけです。逆に玄関の框を下りる時には水平方向の手すりで体重を支えるような形になります。上り下りそれぞれの動作に必要な方向、高さを考慮して設置します。この場合にI型を縦横二つ付ける事もできますが、L字型なら一つですみます。階段だと斜めに取付けたりするわけです。「誰がどのような動作を行うために必要なのか」を考慮する事が重要という事です。

段差解消

歩行困難な方だとほんの少しの段差でも大変です。家電のコンセントで転倒してしまう事もあるそうです。室内にある段差をなくしたり、最初から段差の無いように設計します。床を平らにするためにスロープを設置したりします。また、敷居部分を平らにするため「吊り戸」を採用する事もあります。

扉と言うとすぐ思い描くのは玄関扉のような開き戸ではないでしょうか。開き戸は開閉のために一定の空間が必要となり、バリアフリーの観点からは好ましくない特徴があります。例えば車イスの場合、手前に引くタイプの扉だと開閉が困難となります。また、浴室内で倒れた場合に内開き戸だと開かなくなってしまい、救出が困難となる事があります。引き戸や折れ戸ならそうした場合でも開閉ができるため、大事故を防ぐ効果があります。前述したように天井などに吊るタイプの引き戸など、用途に応じて使い分けたいものです。

間口の広さ

従来の日本の家屋では間口の広さが内寸で80cmくらいのものが多く、介助をしながら室内を移動するには間口が狭い傾向がありました。また、車イスで生活するにも各部屋の間口が狭くて、出入りができなかったり、そもそも廊下が狭くて通れないようなケースもありました。動線を考え、ゆとりのある通路や間口の確保が必要となります。建築時に適度なスペースを確保した場合ならまだしも、リフォームで間口を広げたり、通路を広げるのはなかなかに難しいもの。また、今大丈夫でもこれから先はどうなるのかも考えなくてはなりません。バリアフリー住宅を実現するには場合によってかなりのコストが必要となりますし、物理的に難しい場面も出てきます。今住んでいる住宅をどのように改善するかは、自然限界も出てきます。しかし、これから中古住宅を購入するような場合には、そうした観点でも物件を見極める必要がありそうですね。

トイレ

体の不自由な人がトイレで用を足すのは大変です。介助を必要とするならば、十分な広さがなければ介助者は中に入れません。自立している場合でもそれぞれの動作を補助できる設備が必要となります。腰を下ろし、腰を上げる際には手すりが必要となり、例えば補高便座などで起き上がる際の負荷を軽減するなどの工夫が求められます。起き上がる際、膝の角度が浅いほど小さい力ですみます。便座を高くすればそれだけ利用者の負担は減ります。また、オート開閉、自動洗浄などの機能が付いていれば、より少ない動作で用を足す事ができます。

浴室

浴室では特に転倒事故防止を心がけなければなりません。浴室内の出入口付近から浴槽に至るまでの動作を考え、適宜手すりを設置します。浴槽については出入りのしやすいものを選びます。低い浴槽だとまたぎやすいですし、一旦浴槽に腰を掛けそれから中に入ればより安全に移動できます。

また、洗い場についてもかつて見られたタイル張りよりは、温かみのある滑りにくい素材を選ぶようにします。冬場は急激な温度変化によってヒートショックが起こりやすい為、浴室内で用いる素材についても気を付けなければなりません。

浴室換気乾燥暖房機やミストサウナを設置すれば、入浴前に予め温度を上げておくことでヒートショックによる事故を防げます。

2016年06月09日