寿命の尽きたマンションはどうなるのか?

マンションの寿命はどれくらいなのでしょうか。結論から言えばまだなんとも言えそうにありません。海外ならともかく歴史の浅い日本では50年以上経過しているマンションはそれほどないので、これからまさにそうした問題と直面する事になりそうなのです。

コンクリートの寿命についてさえ、40年と言う人もあれば、100年はもつという人もあります。あとは施工時の状況や建築後のメンテナンスによって各マンションごとに事情は異なるでしょう。そこで疑問に思うのが、「寿命の尽きたマンションはどうなるのか?」という事です。

マンションの建て替え

寿命が尽きたからと言ってすぐに取り壊してしまっては元も子もありません。マンションは建物がなくなったら資産的価値はゼロとまで言えなくても相当目減りしてしまいます。敷地使用権は残るにせよ、もう一回同規模の建物を建てない限り、そこに暮らしていた人は住み続けられません。ましてや、敷地使用権が借地権だった場合、その使用権自体もいずれはなくなります。マンションは現存してこそ不動産価値があるため、老朽化してしまった場合建て替えを模索する事となります。そこで行われるのが「等価交換方式」による建て替えです。

等価交換方式

居住者が所有している土地を出資し、その土地にマンションデベロッパーが建物を建設、建物完成後に、居住者と不動産会社それぞれの出資比率に応じた割合で土地建物を取得するという物です。「なるほど、それならマンションが老朽化しても大丈夫じゃん」と思われるかもしれませんが、これには前提となる条件が必要です。建物は敷地にめいいっぱい、高さも好き放題建てられるわけではありません。建ぺい率や容積率によって敷地の利用や建物の高さが制限されているため、建て替えを考えているマンションがそれ以上大きな建物を建てられないのならこの方式は利用できません。5階建てのマンションが10階建てになるのなら、建て替えによって増えた戸数の販売による利益によってマンション建設費用が賄えるか、自己負担分があっても、収益分で圧縮されます。現実には自己負担がない場合でないとマンションの建て替えは難しいのです。等価交換方式の条件を以下に列挙します。

  • 容積率に余裕がある・・・容積率400%のエリアで200%分しか建物が建ってない
  • 好立地・・・これまでのところ建て替えが行われたのは基本的に自己負担の無い場合です。売却部分の収益が建築費を賄うためには、駅から近い等好立地な場所である必要があります。
  • 厳しい決議要件を満たす・・・区分所有法では、5分の4が賛成すればマンションの建替え決議は可能だということになっています。つまり全世帯の80%が賛成しなければ建て替えができないという事で、厳しい要件になっています。

マンション建て替えをめぐる動き

マンション建て替えのハードルが高いことがわかりました。ではこのままの状態を放置しておくのかと言うと、それはそれで社会的には問題が残ります。そこで安倍政権下でもこうした問題に取り組んでいて、数年後には制度的に建て替えを後押しするような流れになっています。建て替えを阻む要因の一つに高齢化があります。私も何度か耳にしましたが「もうすぐお迎えが来るのに引っ越しなんて・・」とおっしゃられる高齢者が案外おられます。引っ越しには相当のエネルギーが必要ですからお気持ちもわかります。法律や制度として建て替えを後押しするだけでなく、こうした心情的な障壁をどのように取り除いていくのかも大事な事です。

2016年05月29日